神山さんのラップ詞を勝手に分析する回 ♯3

  ラップが大好きなだけの素人ド新規WESTさんオタクが神山さんのラップ詞を分析してみる自己満企画第3弾。

 今回は最新アルバム『rainboW』初回盤Bより神山さんのソロ曲「KNOCK OUT」です。早めの着手。ノクモンアレンジが効いた最高のロックナンバーですけど私には週刊少年ジャンプ原作のスポーツアニメ第一期のOP主題歌に聞こえる。二次オタ出身なので。

 ラップの部分はOPの1分半尺には入りきらなくて、クール最終回の一番盛り上がるところでだけ流れて最高潮にアツい展開が繰り広げられるんですよねわかる。

 

 妄想はこれくらいで早速。↓

 

Say hello!!

応答せよ 応えなき迷路 右それとも左 ほら選べよ

"でも"や"けど"の言い訳を並べてもただのPierrot

信号はYellow でも止まれねぇよ 白黒つけろ

押し付けられるEgoに出せベロ 鳴らせよ爆音でStereo

Three Two One Zero さあ Let's go 伸ばせ手を!!

 

 

 や~~~~相変わらず凄い。踏みすぎである。やっぱりライミングの鬼。( eo )の韻をこれでもかと踏んでる。最初から最後まで一貫してこれ。何事も曲げない神山さんの性格故な気がします。滲み出る頑固さ。素敵。

 このリリックの何が凄いって、まあ脚韻だけなら踏むのってそんなに難しくないんですけど頭韻も組み合わせてるし1文の中に何度も( eo )が出てくる。2行目から5行目はエグすぎる。ついでに言えば「Pierrot」「Yellow」「Stereo」の英単語3つは、他の部分とかかる( eo )の母音韻の役割も果たしてるけど、この3つだけで類韻と言って英語特有のライミングもしてます。単語を見た感じ韻を踏んでる雰囲気はしないけど、発音してみると似たような響きになりますよね。アクセントの位置が本当は「Pierrot」だけ第一音節で他と違うんだけど、ラップするときにあえてアクセントを変えて類韻としてより機能しやすくさせてる感じです。

 「白黒つけろ」の部分はちなみに「しつけ」で単子音韻も踏めてます。ラップパート後半に向けて加速していく中で、強く韻を踏んづけて助走してるしているように聴こえます。

 

 ラップ自体の技という点で言うと、他には「迷路」の部分。迷路は( eio )なので厳密にいえば若干母音が違うんですけど神山さんは"い"を最小限にしか発音せずにラップすることで( eo )にしてるんですよね。そして「Let's go」の部分。聴けばわかるけどこれは「レゴ!」って読んでますね。これは神山さん特有というよりはHIP HOP特有の読み方。「Lego」って省略して書いたりします。( eo )で踏めます。でもそれだとHIP HOPリスナーじゃないファンに不親切だから、見慣れた表記で読みだけ「レゴ」にしてるんでしょうね。気遣いのできる男。

 

 というか、これだけ( eo )の一点張りで韻を踏んでいくのってめちゃくちゃリスキーなんですよ。だって飽きちゃうから。韻は種類が多い方が華やかだし、聴いてて気持ち良いし、純粋に面白い。でも神山さんは敢えて( eo )で最後まで踏み切った。飽きさせることもせずに。ひとえに高いラップ技術の賜物ですよこれは。

 ( eo )の位置が決まりきってちゃいけないんです。脚韻だけとか頭韻だけとか等間隔に並んでたらすぐ飽きる。でも文中に( eo )を散らしてリズムに緩急をつけることで予想のつかない展開にしてるんですよね。

 そして基本的にはラップする時って分かりやすく韻を強調したりしがちなんですけど、神山さんの場合脚韻はめっちゃ強調しつつ中間の韻はさらっと流してしまう。こちらに踏んでいると意識させ過ぎず、でもなんとなく聴いてるだけでリズミカルで面白い。

 一貫した姿勢で( eo )で踏み通し、でも飽きさせない工夫としてラップの技術でカバーする。とんでもないですよ。ラッパーなら普通にやるかもしれないけど神山さんは本職じゃないわけで。知識とセンスと努力がとんでもないんでしょうね。

 

 

 

 今回はラップパートが短いかつ韻が単純だったのですぐ終わりました。単純な韻の良さもあれば複雑な韻の良さもある。そしてそれを両方使い分けられる神山さんが最高だって話です。おわり。

 

 

 次回は「グッと!!あふたぬ~ん」になりそう。