神山さんのラップ詞を勝手に分析する回 ♯2
ラップが大好きなだけの素人ド新規WESTさんオタクが神山さんのラップ詞を分析してみる自己満企画第2弾。
今回はアルバム『WESTival』より「Evoke」です。めちゃくちゃ難しかった。でもめちゃくちゃ楽しかったです。あの曲の中毒性のヒミツが少し分かったような気がして嬉しい。
早速いきましょうまずここ。↓
1A)
Hair is done 粋にキメたDress code
誘うRed carpet 手を取りEscort
( e )の頭韻で前のめりなリズムに聴こえるよう演出しつつ、( ou )で綺麗かつスタンダードな脚韻を踏んでます。( ou )を基準に展開しつつ、( o )しか踏んでいない甘い言葉も(o)を強調して他の母音を曖昧に発音することで綺麗に踏めているように錯覚させている感じですね。
これは神山さんのリリックのセンスは勿論のこと、流星くんの母音を伸ばすクセのあるラップの良さが存分に発揮されているように思えます。それも含めて神山さんは歌割考えてるのかな…。
1A')
欲望だらけのParty people 暴走で最高潮
Voltage上昇 徐々にLose control
次の2行では、脚韻だった( ou )を発展させて熟語の( ouou )にしている。言葉の詰まり方というかスピードを敢えて一定にしないことで印象的なライミングになっています。
言い方悪いけど桐山くんのねちっこいラップが良い。普段よりも流星くんのラップに雰囲気を寄せてバトンを繋いでいる感が感じられる(気がする)。
続いて↓
1B)
一目で虜さ中毒まさにBlack hole
見惚れてCan’t sneak 注目掻っ攫うDarkhorse
ここめっちゃ凄い。音数に対して字数が詰まっている頭韻( ioee )、熟語で固く踏む( u-ou )、長めの英単語で綺麗に踏む脚韻( a-uo-u )、この3種類の韻をすべて綺麗に最初2行に盛り込んでいるんですよ。踏む位置もほぼ一緒。漢文の対句みたいな趣がありますね。いとおかし。この2行は見事。
濵田さんはこういう言葉数が多いタイプのラップが上手な気がします。あとお顔が馬に似てるからこの歌割にしたって聞いた。神山さんお茶目。かわいい。
1B')
轟かすMy name 俺が台風の目
響くBass ShyなBae
Saveなんて不要さぁFeel the beats
( e )の脚韻を基調に全体的にまとまった印象のある部分。韻は優等生なんだけどしゃくりあげてひっくり返るラップの仕方がチャラくてこのギャップが良い。
韻を踏む、とまでは言えないけど「響く」「Shy」の母音の( i )を強調して伸ばすようにラップすることでキャッチ―に聴こえる。最後の「Feel the beats」も( i )を伸ばす英単語×2なので、よりまとまりあるように感じるんですよね。固すぎない韻と小瀧君の甘い発音・発声の相乗効果でとにかくお洒落な印象を与える3行。個人的にめちゃくちゃ好きです。
少し飛ばして次はここ。↓
1D)
Until the time ends
Until the sun rises
Hey wussup? Don’t stop the party
Let me hear you say YEAH!
Say OH!
「Until the time ends」と「Until the sun rises」はなんとなく似た発音の単語を並べている感じ。分解したら母音は別にそんなに揃ってない。でもそれっぽく聞こえる。類韻よりさらに緩い韻って感じ。完全にクラブノリ。韻とか詳しく考えなくてもなんとなくリズム感語感が気持ち良いからノれる。
1D')
Let’s hang out もっとTurn it up
イカしたGirl Shall we dance?
Way to go
( anau )、短くして( au )、同じ韻を詰め込んでいるんですけど、英単語のアクセント的に( a )が強いから踏み込んで畳みかけてくる印象が強い。次の部分からガラッと雰囲気が変わって第2章が始まるので、第1章最後の「Way to go」で一度最高潮にもっていくために意識されたライミングですね。
というか曲としての構成も含めて韻を考えるのはもう完全にラッパーなんですよ。”神山智洋 a.k.a 神ちゃん”なんですよ。(怒られろ)
気を取り直してここ。↓
2A)
Beatで揺れるHip
Sceneに合わせるMusic
Heat up 一緒にKeep on
Moving Stepping Jumping Dancing
憧れのVIP seat
Glass掲げPeace&Cheers
We gon’ party like this
Follow me
まず注目すべきは( ving )( ping )( cing )の間に無駄を一切挟まない4連続ライム。英語特有の語尾が共通する子音韻です。気持ち良いし楽しい。steppingしてるしjumpingしてるのはここのラップのことです。←違います
そしてとにかく( i )で踏んでいく。踏んでないフレーズがない。上の( ing )も結局( i )が入っているのでこの8小節はずっと( i )で踏み続けるんだという神山さんの強い意志を感じます。というか「揺れる」「合わせる」の( eu )とか「憧れ」「掲げ」の( ae )とか踏める韻は全部踏むみたいな執念じみたものが見えます。
あともうこれはラップ関係ないけど重岡君の声がマジでド性癖。第2章の入り口として大きく雰囲気を変えるのに重岡くんのこの甘めの低音が選ばれたという事実に興奮を抑えきれない。
そしてここね。↓
2B)
燃え上ってFire
灼熱の熱帯夜
汗だくDead tired
でももっとアガってHigher
( eaia )で脚韻を踏み続ける。一つもブレてなくて気持ち良い。しかも2,3行目では( aueu )( aeau )で完璧ではないけどほぼ揃った韻もあるので長めの韻に聞こえる。
WESTのラップ班 神山藤井コンビの掛け合いとかいうアツすぎ歌割。
2B')
まだ物足りないでしょ? 今すぐCall me
Come on, Let’s move it & Put ya hands up in the air
HIPHOPやEDMみたいなパーティーチューンでは超ド定番のフレーズ「Put your hands up in the air」が登場。わざわざ分析するフレーズでもないけど一応書いとく。
ここでは「&(and)」と「air」は音程もリズムも揃えて(e)で脚韻を踏んで更に「Put ya hands up」の部分で跳ねるように( a )を3つ踏むことでリズミカルにしてる。クラブ感がこれ以上ないほど鮮明に演出されている感じ。手上げて頭振り回してノる以外の選択肢がない。
そしてラスト。ここやばい。↓
3A)
Still more swingin’ swingin’
Don’t stop Get it Get it
Break down, Regret is deferment
Now scream
Fangirls voice ExtraでGOATなSuperstar
Got a swag Got your back OMG!!!
これは高速ラップによく使われるライミングで、小節内で細かい韻( a )と( o-a )を交互に並べている。「OMG」も分解すれば「Oh My ( o-a )」と「God ( a )」になる。そして脚韻の( a )を伸ばすラップの仕方がめちゃくちゃ効いていて、下から少ししゃくるように持ち上げる歌い方でスウィング感(1行目)とかバウンス(5行目)が感じられる。
3A')
Girls are delighted Waves of the light
Tonight we excited
Fly so high Touch the sky
Never felt like that Check this out
It’s lit Let’s go
ここも「delight」「light」「night」「cite」で子音韻を踏み続ける。そして休符を効果的に用いて溜めたりリズムを崩すことで、一辺倒じゃない耳に引っかかるライミングになっている感じ。
直後のフレーズから子音韻の響きの名残がある( a-i )で連続で踏みまくる。ここは逆に規則的で分かりやすいリズム。不安定だったリズムから聞き馴染みあるリズムになるので落差を感じて、フレーズ全体が印象的になる気がする。ここのリズム感を格好良くラップするのは本当に難しいことなのでWESTさんのラップのエースでありEvokeを書いた張本人である神山さんが担当するのはもう満を持してラスボス登場!みたいな感じ。えぐい。
そして勢いよくぶん投げるような( a )の単脚韻。3A)6~7行目の( a )の韻をダメ押しで最後にもう一度持ってくることで、この部分全体のまとまりを出している。
長い道のりだった…。だって難しいんだもん。ずっとラップしてるし。3時間くらいかかったんですがでも一つ発見するたびに「神山さんすげー!」って言いながらで本当に楽しかった。
とにかく韻が散りばめられていて、だから中毒になるんだと思うこの曲は。無意識に耳が心地良くなるので。ASMRに近い楽しみ方ができる。しかもライミングの一つ一つに全部しっかりと意図が見えるから素晴らしい。やっつけでとりあえず韻踏んでおこう感がない。神山さん凄い。
日本語って母音の発音が5種類しかなくて熟語も多いから固い韻が踏みやすい(その分駄洒落と言われがちだけど)。そして固い韻はラップするときにはやりやすい、だって発音に忠実にやれば勝手に踏めるから。でも逆に、甘い韻や実は母音は揃ってないけど踏めているように聞こえるフレーズなんかは完全にラップの歌い方だけで聞かせなくちゃいけないから難しい。この「Evoke」は甘い韻や母音が揃っていない部分も結構多いんだけど、それでもこれだけ韻踏みまくりの曲に聞こえるのは神山さんの言葉の詰め方やリズムへの乗せ方のセンスと、メンバーそれぞれのラップのセンスのおかげ。センスセンス言ってるけど努力の上にあるものだと思います。7人みんな本当に凄い。
今回引用した部分は分かりやすくラップしている場面だけだけど、勿論それ以外の部分でもライミング多用されてて全体的にずっと意識されてます。完全に洋楽寄り。英語って語感が良くてリズミカルに喋るものだし、HIPHOPのルーツも相まってもともと英語と韻って本当に密接したもの。英語圏ではラップとかHIPHOPとか関係なく、童謡とかでも韻を踏むのって当たり前の文化。だから英単語や英語のフレーズが多用されてとにかく韻を踏もうと意識されまくってるこの曲は言ってしまえばほぼ洋楽です。洋楽、HIPHOP、EDM、J-POPの良いとこどり。最高!
12月に初めて聴いてずっとやりたかった分析、ようやくできて良かった。というかまあ私が手を付けてなかっただけなんだけど。
あくまで普通の人より少しラップをよく聴くだけの素人なので間違っているところもたくさんあるだろうし、あくまで「神山さんはこういうこと考えてこうしたのかな?」という予想でしかないのだけど。まあでも私なりの解釈なのでこれが私の見つけた正解です。
神山さんご本人がこう言ってたよーとかこれ見たら解説してるよーとかあったら知りたいけどまあ新規である以上情報の漏れはしょうがないところもあるんだけど。
次はソロ曲のKNOCK OUTにしようかなあ。