神山さんのラップ詞を勝手に分析する回 ♯4

 

 ラップが大好きなだけの素人ド新規WESTさんオタクが神山さんのラップ詞を分析してみる自己満企画第4弾。

 今回も最新アルバム『rainboW』より、通常盤に収録されている「グッと!!あふたぬ~ん」やっていきたいと思います。

 

 

 早速いきましょうこちら。↓

 

家に着くなりベッド バッタンキュー

電話かけた相手にwussup? (fu-!!)

携帯とともに自分充電中

お腹がぐぅ~。そのまま(-_-)zzZ 頑張れ Youー!!!!!!!

 

 まずリリックどうこうの前に一ついいですか?神山さん可愛すぎじゃありませんか?顔文字を使うな。ズーと読ませるな。かわいいか。

 

 ではまずライミングから。とっても単純です。「バッタンキュー」「wussup? (fu-!!)」「充電中」で聞こえるそのままの脚韻だけ。頭韻とかとくにない。神山さんにしては単純すぎるほどの韻。綺麗に母音が揃った韻ではないので文字には表しにくいんですけどまあ類韻ですかね。3音韻ではあるけど、最後の( u- )が強めに印象に残って、それまでの2音の母音はそこまで意識してないんだと思います。

 だって最後の1行ではもう単韻の( u- )しかないから。「ぐぅ~」とか顔文字で「ズー」と読ませたりとかとにかく可愛い韻です。本職ラッパーじゃまず書かないリリック。本職ラッパー並みのセンスと知識を持つ、でもやっぱりアイドルな神山さんだからこそのリリック。素晴らしい。

 

 

 でね。このリリック本当に単純なんですよ。小節ごとに脚韻踏んでるだけ。だから聴いてる私たちもすぐ歌えるし。Evokeとかめちゃめちゃ難しいラップしてるんですよね第2弾で散々書いたけど。そんなこともできてしまう神山さんがこの単純なリリックを書いた理由。

 この可愛らしい応援ソングには可愛らしい単純なリリックがぴったりだからですよね。深く考えずに聴いてるだけで楽しくて、なんとなく励まされて、笑顔になれる。それくらいの軽さで良いんですよ。聴きこまないと分からないギミックなんてこの曲には必要ないんでしょうね。

 

 このラップフレーズの直前の部分。三々七拍子がありますよね。太鼓の音、笛の音、歌、全てが三々七拍子で揃った分かりやすい応援団ぽさ。で、ラップパートに入るんだけどトラックはそのまま三々七拍子。太鼓と笛の音が相変わらず鳴り響いててそこにこのラップがのっかってるんですよね。

 これ凄いことだと思う。私は普通の人よりラップが好きで色々聴いてると思うけど、三々七拍子にラップのっけてる音源は聴いたことないです。いや普通ないよ。そういう発想にならないし。これもやっぱり、アイドルで様々な音楽ジャンルに満遍なく触れている神山さんだからこそのアイデアなんだと思うんですよね。「Evoke」のときは神山さん本職ラッパーなのか?なんて言ってたけど、そうじゃない神山さんだからこそ作れるラップっていうのが存分に発揮されているなあと思うわけです。

 

 あとまあ単純に神山さんのリズム感半端ない。いやこのラップ簡単なんだよね歌う分には。さっきも書いた通りライミングが単純だし、三々七拍子って私たち日本人には馴染みのあるものだし。誰でも簡単にラップできる。でもね、このラップを最初に書くのはリズム感抜群じゃないとできないと思う。三々七拍子のトラックがあったら当たり前に三々七拍子の言葉しか普通出てこない。それにこれだけリズミカルなリリックを乗せられるって相当なリズム感が必要だと思います。

 2行目が三々七拍子の7拍の部分だけど、ちょうど7拍目の直後が「fu-!!」なんですよね。拍が途絶えた無音の瞬間に「fu-!!」の歓声を持ってくることで、応援団の泥臭さ熱さよりも楽し気で気軽な印象になる。

 4行目に至っては、よく7拍子にこれを乗っけたなと。後ろの7拍の方に意識向けながらこのフレーズ聴いてみてほしい。一瞬混乱する。なにこのラップ?「ぐぅ~。」から「そのまま」まで裏拍でとるイメージなんですよね。三々七拍子なんて表拍でとってなんぼのリズムなのに。

 聞き馴染みあるリズム、分かりやすいライミングでラップする分には簡単だけど、最初にこのトラックにこのリズムでラップ乗っけようと作るのは物凄く難しい。そんな高度なこともこなしちゃうんですよね神山さんって。しかも少し立ち止まって考えないと高度であることにすら気づけない。可愛らしいラップだなーで解釈を終わらせてしまうことだってできる、これこそがこの「グッと!!あふたぬ~ん」のラップの凄さかなあと思いました。

 

 

 最後に歌割の話を。これまあ流星くんと神山さん、WESTのラップ担当エース2人組が交互にやってるんだけど、ちょこちょこメンバーの声入りますね。

 「バッタンキュー」「fu-!!」「充電中」「ぐ~」「ズー」「You」です見ての通り要するにライミングしてる部分。これ、HIP HOPのマイクリレー的にはド定番の歌割なんですよ。HIP HOPにおけるマイクリレーって何かっていうと、1曲でラッパーが何人もフィーチャリングして8小節ずつ順番にラップしていくってものですね。同じトラックに、ラッパーそれぞれが自分のスタイルでラップを乗せていくからフロウに個性が出てとても面白いんですけど。マイクリレーものは音源ではそれぞれのパートでそれぞれが普通にラップしてるんですが、ライブになるとお互いのパートの韻を踏んでいる部分とか強調したい部分に他のラッパーが乗っかるんですよね。気持ち良い韻のところとか大合唱。

 ここではそれを使って、流星くん神山さんのラップにメンバーが乗っかっていく。一体感も出るし、韻がより強調されて気持ち良いし、この曲の楽しさを加速させていく一つの要因になってるんじゃないですかね。2人で交互にラップするのはこの曲では少し寂しいから、メンバー参加型。応援団は声を揃えてなんぼですしね。

 

 

 この短いラップ部分にも存分に神山さんの沢山の思いが詰め込まれていてよかったです。ラップ一つとっても、曲ごとに全く違う引き出しを開けてくる神山さんは本当に凄い。では今回はここらへんでおわり。